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フランシスコ・ザビエルからの手紙(5)
この手紙は、ザビエルが日本で最初に、本格的に宣教を始めることになった、山口での第一歩について伝えています。
「福音を宣べ伝えるためには、都は平和でないことが分かりましたので、再び山口に戻り、持ってきたインド総督と司教の親書と、親善のしるしとして持参した贈り物を、山口候に捧げました。この領主は贈り物や親書を受けてたいそう喜ばれました。領主は私たちにたくさんの物を差し出し、金や銀をいっぱい与えようとされましたが、私たちは何も受け取ろうとしませんでした。それで、もし私たちに何か贈り物をしたいとお思いならば、領内で神の教えを説教する許可、信者になりたいと望む者たちが信者となる許可を与えていただくこと以外に何も望まないと申し上げました。領主は大きな愛情を持って私たちにこの許可を与えてくださり、領内で神の教えを説くことは領主の喜びとするところであり、信者になりたいと望む者には信者になる許可を与えると書き、領主の名を記して街頭におふれを出すことを命じられました。
領主はこれと同時に、学院のような一つの寺院を私たちが住むようにと与えてくださいました。私たちはこの寺院に住むことになり、普通、毎日二回説教しましたが、神の教えの説教を聞きに大勢の人たちがやってきました。そして説教のあとで、いつも長時間にわたって討論しました。質問に答えたり説教したりで、絶えず多忙でした。この説教には大勢の僧侶、尼僧、武士やその他たくさんの人が来ました。家の中はほとんどいつも人がいっぱいで、入りきれない場合がたびたびありました。彼らは私たちにたくさん質問しましたので、私たちはその答えによって彼らが信じている聖人たちの教えは偽りであり、神の教えこそ真理であることを理解させました。幾日間も質問と答弁が続きました。そして幾日か経った後、信者になる人が出始めました。説教においても、討論においても、最も激しく敵対した人たちが一番最初に信者になりました。」
(特集-聖フランシスコ・ザビエル 5 2006/4/7)