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12. 主によって派遣された人

 1996年2月5日、アルペ神父の死後5周年記念に、アルペ神父のあとを継いだイエズス会総長コルヴェンバッハ神父は、報道機関に次のように述べた。
 「ドン・ペドロ(ドンは敬称、アルペ神父のこと)は、人々に付き合うために言葉を必要としない人間の一人であった。彼がそこにいるというだけで、その存在が第二ヴァチカン公会議の精神に従い、イエズス会の改革を助けるために、主によって派遣された人であることを雄弁に物語っている。アルペ神父は、公会議後まき起こった嵐の中でイエズス会を導いた人、と言うだけでは足りない。実際アルペ神父は、イエズス会員に対し、嵐の中に飛び込むように力づけ、嵐を経験するように、そして新しい構造に加わるように、変化を恐れないで、異常な強さで吹く新しい嵐の猛烈さに身をさらすようにと励ました。彼はイエズス会が、新しい試みに情け容赦なく降りかかる試練、避けがたい間違い、批判、誤解などの試練に耐えて、かつてないほど一層有効な使徒という道具となり、非難のるつぼから抜け出すことを願っていた。
 このような使命は、人間の力だけでは不可能である。アルペ神父は聖霊からの特別の賜物をいただいていた。その賜物とは、イグナチオの基本的精神に基づき、祈り、識別する恵み、〈イエズス会員は活動においても観想的である〉と会員をいつも信頼する恵み、困難を乗り越え、新しい修道生活のスタイルを取り入れる道へと踏み出すという、信じがたいほどの楽観主義の恵みである。このような恵みは、彼のイエス・キリストへの愛に支えられ、不信仰や不正などで混乱している現代世界を解放しようという使命へと彼を向かわせたのである。
 アルペ神父の特別な才能である楽観主義や彼の刷新の試みを、無分別で単純すぎるとして排斥しようとする者も少なくなかった。しかし、アルペ神父に近づく者は皆、疑うことなく、『この特別に困難な状況にありながらイエス・キリストの使命のしもべとなるために、主が派遣された人の前に、いま自分はいるのだ』という確信を覚えたのである。」

(特集-アルペ神父 12 2006/8/18)

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