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6. 希望といのちへ
聖地では4年ぶりの首脳会談が開かれ、停戦合意が交わされました。現地の人々はわずかながら希望の光を感じています。しかし、この希望もたった一つの自爆攻撃で潰(つい)え去るようなはかないものであることも事実です。
2005年、ヒロシマ・長崎は被爆60周年を迎えます。この大きな節目の年にNPO法人『聖地のこどもを支える会』が、各関係者のご協力のもと、広島や長崎の有志の方々とともに、『平和をつくる子ども交流プロジェクト』を立ち上げました。
それは、長引く紛争に苦しむイスラエル・パレスチナ双方の高校生が日本の高校生とともに、今年8月まさに被爆60周年を記念する広島・長崎に旅をし、「出会いと対話」をとおして平和と和解への道を探るというものです。
この計画の発案者はベツレヘム聖誕教会のイブラハム神父です。彼は、一昨年広島を訪れた時、「紛争のために出会うことすらできない聖地の若者たちに、この地においてこそ、直接に対話をさせたい」と熱望したのです。「広島・長崎は未曾有(みぞうう)の悲劇を乗り越えて『希望といのちへの道』を探り、復興を達成した町だから」と彼は言います。
親の世代から戦争の体験がない日本の高校生たち。60年来、抑圧と暴力の応酬がたえない国に生まれ、自由と尊厳と安全に乾いている若者たち。双方が直接触れ合い、出会うことは、重要な意味を持つにちがいありません。
次の世代に紛争を続けるのも若者たち、また平和のために働くのも若者たちです。この旅での「出会いと対話」の経験が道しるべとなり、「平和のために自分は何が出来るのか」を具体的に考え、行動に移せる人になれるよう願っています。
旅の間に育まれる相互の友情が、それぞれの心に蒔かれる「平和と和解の種」をより力強く成長させてくれるでしょう。彼らが未来への希望の道を見いだし、中東に、そして世界に平和を実現するために、互いに手を取り合って働いてくれることを心から望んでいます。
*イブラヒム・ファルタス神父の紹介:
カトリック・フランシスコ会神父。エジプト・アレクサンドリア生まれ。現在エルサレム・カトリック教会主任司祭。イスラエル・パレスチナ両政府に対するフランシスコ会代表。ベツレヘムのテラ・サンタ学院(1590年聖地最古の創立)の校長としてこどもたちの教育に携わってきた。2002年春の39日間にわたる聖誕教会包囲事件の際、イスラエル・パレスチナ双方の仲介者として話し合いによる平和的解決に力を尽くした。
イスラエル―パレスチナ―日本「平和をつくる子ども交流プロジェクト」実行委員会
NPO法人「聖地のこどもを支える会」
ホームページ http://seichi-no-kodomo.org/
(特集-平和への一歩 6 2005/3/25)