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2. 病院で出会ったイエスさま

 私は、今の病院に勤めて4年になります。前に務めていた病院は、新築で新しい看護体制で経営されていて、設備や患者さんに対する待遇などに恵まれていた方なので、今の病院に来た時はショックを受けました。
 建物は古く病院は薄暗く、廊下までトイレの臭いがする、冷房はない、暖房はかすかに、などなど。設備のことよりもっと悲しかったのは、職員の患者さんに対する態度が指示的で一人一人は違う患者さんに、一緒の行動をさせ規則重視でした。
 全てが、私の思いや考えに合わず、友人からも「この病院のやり方に不満ならやめるしかない」と言われました。やめることはできるけど、患者さんは、今の状態がずっと続くかもしれないと思うとどうしていいの分からず、暗い気持ちで働いていました。
 待降節に入ったある日、病室に入ると6人の患者さんたちが、ある人は無表情で私を見、ある人は寝て天井を見、ある人は布団を被って眠っていて薄暗い病室が、しんと静かでした。その時、私は「あぁ~幼いイエス様みたい!」と患者さん一人一人に眠っている幼子イエスさまを感じたのです。病室は静かで暖かく平和な感じがしました。体が柔らかくなり、平和でやさしい気持ちになりました。そうだ、私を待っていてくれたのは、馬小屋でご自分では何もできず、全てを周りの人に任せている幼子イエスさまだったのだと思い「この幼いイエス様に仕えよう!」と希望が湧いてきました。患者さんが寒かったら私も、暑かったら私もそれを味わおうと思いました。
 駅まで10分近く歩く私の朝の出勤時、心の中で「主は水辺に立った、私に声をかけた、み言葉で漁にでた、‥」が自然に出て歌いながら喜びと感謝の心で出勤していました。
 みんなではできないとしても、患者さんを大切にすることは、一人でもできる。環境が悪いから不幸とは限らないと希望をもち続けて今日まで勤めています。
 病院には、いつの間にか冷暖房が入り、冬は暖かく夏も以前よりは涼しく、私たち職員も努力してきているし入職した頃の緊張感がなくなってくると自分の都合や周りに流されていることに気づくことがよくあります。患者さん一人一人に今何が必要かを見て応援していきたいと思っています

(Y.T. 看護婦)

(特集-闇の中の光 2 2005/12/30)

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