こころの散歩
あなたがつけてくれたランプ
あなたがつけてくれたランプ
メルボルンではある老人のところを訪ねましたが、彼がいることさえ誰も知らなかったのです。老人の部屋がおそろしい有様なのを見て、私が掃除しようとしました。老人は、「わしはこれでいい」と言って私をとめましたが私が何も言わずにおりますと、とうとう最後には老人は譲って「じゃあやってくれ」と言いました。部屋の中にはすばらしいランプがほこりにまみれていました。「どうしてこれをつけないの?」と聞きますと、「誰のためにつけるのかい?誰もわしに会いにこないのだもの、ランプは必要ないよ」で、私は聞いてみました。「シスターたちが訪ねてきたら、ランプをつけます?」「ああ、人の声が聞こえたらランプをつけるともさ」そしてある日老人から私に伝言がありました。「あなたがつけてくれたランプは、いつまでも燃えつづけているって、あの人につたえてくれ」。