こころの散歩
いいこと探し
いいこと探し
その学生には歳の離れた兄弟が何人かいて、その一番下に知的障害の弟が生まれました。その男の子は寝たきりで動けません。ものも言えません。しかしニコニコしています。
子どもたちは学校から帰ってくると、その一番下の弟のところに行って「今日はこんないいことがあったよ」と教えます。外に出られない弟のために楽しいことを話すのです。
すると弟はニコニコします。
そうやって、みんなが帰ってくると弟にいいことを話すのが習慣になっていました。
その学生は長女でしたが、朝から「今日家に帰ったら、弟に何を話してあげよう」と、弟に話すいいことにアンテナを張り巡らせて探しています。
そして何か見つかればすぐメモしたので、手帳の中にはたくさんの宝がたまっていきました。
うっかりすると嫌なことがあってくよくよしてしまって、家に近づくまでいいことが何も思いつかないときがあります。
でも、玄関に入るまでに「そういえば足が痛くない」ことを見つけて、「靴があるから足が痛くなかったのよ」と話す、というのです。
「宝探し。これはどんな小さなことでもできます。知的障害の弟によって私たち家族は本当に幸せになりました」と言っていました。
鈴木 秀子 著 「今日幸せになる171の言葉」(海竜社)より
画: 三村 阿紀