こころの散歩

お金を幸せに換える

お金を幸せに換える

 むかしインドに大金持ちの王がいました。その家来たちは奴隷のような生活をしていました。ある日、王は家来を呼んで、税金を集めてくるように命じました。彼は、「王様、不作だったから、税金は免除した方がよいのではないでしょうか?」と言いましたが、王は、強制的に実行しようとします。彼が、「そのお金を何に使うのですか?」と聞くと「何に使う必要があるかは調査してからのことだ。何が必要か見てきなさい。」と命じました。彼が王宮の中を巡ってみると、宮廷役人たちから、国民たちと同じような不平不満を聞かされました。家来は王に、「王宮には、改善すべきことがたくさんあります。」と伝えて王宮を出発しました。多くの民衆が集まる中で「王様は、税金を免除します。今年は不作だったので、免除することにしたのです。」というと民衆は、大変喜び拍手喝采しました。王宮に帰ると王は、「なぜこんなに早く帰ってきたのか?」と尋ねました。「民衆がとても苦しみ悲しんでいる顔を見て忍びなく、王様は、税金を免除してくださいますと言うと、大変な喜びでした。」と報告しました。すると、王はひどく怒り、自分自身で税金を徴収しようと出かけて行きました。王を見た群衆は、歓喜し「王様、万歳!」と歓迎しました。これを見ると、王は何もすることができませんでしたが、とても幸せな気持になりました。こんな幸せを味わったのは初めてのことでした。宮殿に帰り、その家来を呼び「おまえは正しかった。おまえは、お金を幸せに換える方法を教えてくれた。」と礼を述べました。

画: 泉 類治
  

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