こころの散歩

ともかく宝くじを買いなさい

ともかく宝くじを買いなさい

 信心深い男が経済的な打撃をこうむった。そこで彼はこう祈った。
 「主よ、できるかぎりを尽くし、見返りを期待せずお仕えしたこの年月を思い起こしてください。いまや私は年老い、破産者となりました。人生で初めて、ご厚意をお願いいたします。必ずかなえてくださると確信します。どうか宝くじにあたるようにお願いします。」

 何日かが過ぎ、数週間、数か月がたった。ついにある夜、彼は絶望のあまり、叫んだ。
 「神よ、どうして私に好運を恵んでくださらないのですか。」

 そのとき彼は神の声を聞いた。
 「おまえのほうこそ私に機会を与えてくれ。どうしておまえは宝くじを買わないのか。」

アントニー・デ・メロ 著 / 裏辻 洋二 訳 「蛙の祈り」(女子パウロ会)より
  
  

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