こころの散歩

ぶどう畑の宝

ぶどう畑の宝

 ある農夫が、まさにその命を終えようとしていました。農夫は、自分の子どもたちが農業の経験を積んでほしいと願い、子どもたちを呼び寄せて言いました。
 「愛する子どもたちよ、私の命はやがて終るだろう。しかし、私の所有する限りの貴重な財産は、私のぶどう畑の中に隠されている。お前たちはそこで、すべてを発見するだろう。」
 農夫はこう言い残して、息を引き取りました。
 それからしばらくたって、子どもたちは、人知れず隠されている父の宝を探して、ふどう畑のあらゆる場所を掘り返し始めました。ところが、どこを何度掘り返してみても、宝を見つけることはできません。
 やがて、収獲の季節を迎えたとき、子どもたちによって見事に耕されたぶどう畑は、何倍もの実りを彼らにもたらしました。

(イソップ寓話)
マヌエル・アモロス著 「ギリシャ語の学び方」(南窓社)より
画: 軽部 修司
  

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