こころの散歩
ほめられればのびる
ほめられればのびる
ほめられれば才能はのびるのである。私は後輩の作品をほとんどけなさない。ほめることにしている。ほめればその才能は刺激される。そして自信がついてくる。
劣等生たちに必要なこと。それはしかることではない。けなすことではない。きびしく罰することではない。彼のなかに埋もれている美点を、かくれた才能を教師と大人とが発見してやることなのだ。そしてそのかくれた美点(美点のない劣等生などはいない)に水をかけ、肥料を与え、育ててやる。そうすれば必ず必ずどんな子供でも立派になっていく。
立派ということは社会的順応主義にあてはまらないかもしれないが、とにかく立派になるはずだ。
劣等生をほめてやろう。自信をもたせてやろう。一流の大学にムリヤリ入れるのが人間の人生じゃない。平均的社会人にするのが、必ずしも人間教育じゃない。
遠藤 周作 著 「春は馬車に乗って」
鈴木 秀子 監修 『人生には何ひとつ無駄なものはない』(海竜社)より