こころの散歩
ドアを見つめて
ドアを見つめて
わたしは、ある(老人のための)施設に行ったとき、人々がすべての物、すべての美しい物を持っていることに気づきました。しかし、皆ただドアのほうを見ているだけでした。笑っている人を一人も見かけませんでした。わたしは振り返ってシスターに尋ねました。「これはどういうことですか。ここですべての物を持っているこの人々はなぜドアのほうばかり見ているのですか。なぜ笑わないのですか」。わたしは人々の笑顔になれていたのです。死にかけている人すら笑います。
シスターは答えました。「毎日のことです。彼らは息子や娘が訪ねてくるのを期待し、望んでいるのです。彼らは忘れられていることに苦しんでいるのです」。ごらんなさい、ここに愛がどのようにやって来るかが示されています。
貧しさはまさにわたしたちの家庭にあるのです。愛を怠ることなのです。わたしたちの家庭には、孤独を感じている人、病気の人、心配している人がいるかもしれません。そのようなことは誰にとっても苦しいことです。わたしたちは、彼らのそばにいますか。彼らを受け止めるために、彼らのそばにいますか。
マザー・テレサの遺言
片柳 弘史 写真・編訳 「愛する子どもたちへ」(ドン・ボスコ社)より
写真: 「愛する子どもたちへ」、片柳 弘史