こころの散歩

リラックス

リラックス

 使徒ヨハネは時々雀と遊ぶのが好きだったそうです。
 ある日、若い猟師が使徒ヨハネを訪れると、彼が雀と遊んでいるのを見て驚きました。こんな時間は、きっと何か善いこと、大切なことに使えるはずだと思ったのです。そこで猟師は聖人に尋ねました。「どうして、遊んで無駄に時間を使っているのですか? 何故こんな役に立たない雀なんかにかまけているんですか?」
 ヨハネは驚きました。何故遊んではいけないと思っているのだろう、猟師のような者が何故分からないのだろうかと。
 そこで、彼は猟師に尋ねました。「君の弓の弦は、何故今ピンと張っていないのですか?」
 猟師は答えました。「それは駄目なんです。弦をピンと張りっ放しにしておくと、弓のはじける力がなくなって、いざという時に矢を射ることができなくなるのですよ。」
 そこでヨハネは猟師に言いました。「ねえ、ちょうど君が普段は弓の弦をゆるめているように、人間は、普段は自分の緊張をゆるめてリラックスしていた方がいいんだよ。もしリラックスして遊ぶ時がなかったら、大切なことのために力が出せないのだよ。私がどうしてもやらなければならないこと、しかも私の全身の力を集中なければできないことに取り組まなければならない時にその力が出ないのだよ。」

“Bruno Hagspiel”より
  

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