こころの散歩

二羽の鷹

二羽の鷹

 昔、ある王様が二羽の鷹のひなを贈物としてもらいました。
 さっそく、調教師に訓練するように渡しました。
 ところが、一ヵ月後、調教師は王様に言いました。
 「王様、一羽は完全にしつけられましたが、もう一羽のほうは、宮殿に来たその日から枝に止まったまま動きません。私たちがえさを口まで運んでいる始末です!」
 がっかりした王様はあらゆる癒しの技を持った奇術師を呼びましたが、だれ一人としてそのひなを飛ばすことはできませんでした。
 くる日もくる日も、じっと動かないその鳥を窓ごしに眺めながら、とうとう王様は家臣たちにも布告して頼みました。

 その翌日の朝、王様は軽やかに飛び回っているその鷹を見たのでした。
 「あの奇跡を行った者を呼びなさい!」と王が言うと、
すぐに一人のお客さんが現れました。
 「あなたが鷹を飛ばしたのですか!
 どうして出来たのですか? あなたは魔術師ですか?」

 「王様、何もむつかしいことではありません。ただ木の枝を切り落としただけです。
 鷹は翼をもっていることに気づいて、飛び始めたのです。」

(作者不詳)
画: ホアン・カトレット
  

ページ上部へ戻る