こころの散歩
信じて待つ人
信じて待つ人
私は目の不自由な男性とポート・モレスビー空港の雑踏の中にいました。彼をあちこち引っぱり回したくなかったので、「ちょっと、ここで待っていてくれないか。」と言って、隅の方に彼を残してそこを立ち去りました。切符を購入し、手紙を投函し、飛行機の発着状況を確認しました。
ふと振り返って彼の方を見ると、彼は先ほどの場所に立っていました。人々が彼の周囲を行きかい、子どもがひとり彼を見上げ、ポーターが大きな荷物を乗せたカートを押して彼の側を通り過ぎていきました。新聞売りの少年がどうしてこの人は今日の新聞に眼もくれないのかと不思議そうな顔をしていました。彼はじっとそこに立っていました。周囲の人々の足音、話し声、行き来する人々の物音は全く関係ないという様子で、じっと立っているのでした。
彼は辛抱強く、私が戻ってくることを信頼しきって待っているのです。彼の顔には疑いのかけらすらないように見えました。私が戻ってきて、また一緒に先へ行くという期待だけが漂っていました。
彼がじっと瞼を閉じているその様子は、主の再来を信じて待っているクリスチャンの顔を思わせました。
“Willi Hoffsuemmer”より
写真: http://sozai-polaris.sub.jp/ より引用