こころの散歩
受け止め方が変わると
受け止め方が変わると
ある日女性が家の窓から外を眺めていると大きなトラックがやって来て家のそばに止まったのでした。すると中から5人の若い男降りてきて、エレキギターやスピーカー、それにドラムなどを荷卸して隣の家に運び込んだのでした。
これを見て女性はすっかり頭に血が上ってしまいました。大変なことになったわ、安らかな夜も、静かな毎日の生活もお隣りから聞こえてくる騒音にすっかりめちゃくちゃにされてしまうに違いないわと思ったのでした。
その夜、夫が仕事から戻ってくるやいなや、彼女は夫に言ったのでした。
ねえ、大変よあなた、もうここには住んでいられないわ。ここから出て行かなかったら、お隣の騒音で耳が聞えなくなってそして気が狂ってしまうわ。」
すると夫は彼女をなだめて言いました。
「ねえ、何をそんなに怒っているんだい? あのバンドは誰だか知らないのかい? あのバンドは“スングマ”じゃないか、ほら世界中で大観衆を前に演奏しているバンドさ。 だからさ、彼らがここに引っ越してきたってことは、儲けもんてもんじゃないか。だって、彼らの演奏をみんなただで聞けるんだからね。」
すると彼女の眉間のしわは微笑みに変わりました。そして彼女はそそくさと電話の所に飛んで行って、お友達に片っ端から電話するのでした。
「近いうちに、うちにおいで。ただでスングマの生演奏が聞けるのよ。すごいでしょう。・・・・」
受け止め方が変わると事態も一変するものなのですね。
“1000 Stories You Can Use”より