こころの散歩
天のさらにその上
天のさらにその上
安息日の前日にラビは必ず姿を消すのだった。彼の会堂の者はどういうわけだろうと興味をそそられた。全能なる神とひそかに会見しているのではないかとの意見に従い、一人の者にラビの後をつけさせることになった。彼はつぎのようなことを目撃した。
ラビは農夫の姿に変装し、身体に障害のある異邦人の婦人を小屋に見舞い、掃除をすませ、安息日のための食事を整えてやったのである。
男がもどってくると一同はたずねた。
「ラビはどこへお出かけだったのかね。天に昇ったかね。」
男は答えた。
「いいえ。ラビはさらにその上においででした。」
アントニー・デ・メロ 著 / 裏辻 洋二 訳 「蛙の祈り」(女子パウロ会)より
画: 軽部 修司