こころの散歩
太陽を目覚めさせるオンドリ
太陽を目覚めさせるオンドリ
昔、太陽の「目覚し時計」を自認するオンドリがいた。それが自慢で、一人ほくそ笑んでいた。
「毎朝、私が時を告げると、太陽が目を覚ます。日の出だ。そして勇壮に天を巡り始める。なんと偉大な使命だろう。」
こんなわけでオンドリはいよいよおごり高ぶり、他の鳥たちをみなばかにする始末だった。
ところがある日のこと、オンドリはすっかり寝過ごし、目が覚めてみると、もう昼の十二時になっていた。そして驚いたことに、太陽はすでに空高く輝いていた。オンドリはつぶやいた。
「こんなことってあるだろうか。──私が太陽の目覚し時計だったはずなのに。」
すっかりうろたえてただ行きつもどりつしているうちに、真実に気がついた。オンドリは不意に立ち止まり、太腸に向かって力一杯できるだけ上手に鳴いた。そのあたりでこれほどすばらしい鳴き声を聞いたことがないほどに、立派な鳴き声が響きわたった。
オンドリは天啓を受けたのだ。彼が目覚ましの役をしていたのではない、その逆だったとその瞬間に悟ったのだ。太陽は毎朝出る。その力強く暖かい光線で、生きとし生けるものすべてを抱き、暖め、生きる情熱と、賛美と感謝の歌を歌う力を与えるのだと。
それからも、オンドリはいつものように、毎朝時を告げて鳴いた。しかし、その鳴き声はもう、傲慢でも、自己中心でもなかった。その声は、太陽への感謝。すべてに先がけて目を覚まし、彼を暖め、感謝をこめて声高く歌う望みを抱かせてくれる太陽への賛歌だった。
いまでも、オンドリは毎朝、賛美と感謝の歌を歌い続けている。聞いたことがありますか。
ホアン・カトレット 著 / 中島 俊枝 訳 「たとえ話で祈る――聖イグナチオ30日の霊操――」(新世社)より
画: ホアン・カトレット