こころの散歩

婚約指輪

婚約指輪

 ある青年が宝石店に入り、一番高価な婚約指輪を注文しました。宝石商はとても素晴らしい指輪を見せて、青年に聞きました。「もうすぐ結婚するのですか?」青年は答えました。「いいえ、まだ相手は見つけていません。これは母のためです。私が生まれる前に、問題を避けるために、母に中絶を勧めた人がたくさんいました。しかし母は断わって、私を産み、いのちの恵みを与えてくれました。母がたくさんの困難に乗り越えなければなりませんでした。私にとって、父であり、母であり、姉、友人、先生でした。今の私を創ってくれたのです。今、買うことが出来るようになったので、母にプレゼントしたいのです。母はこんなものを手に入れたことがありません。今まで母が私にすべてを与えてくれました。今私が同じようにすべてをお返ししたいのです。たぶん今度、私も婚約指輪を人にあげるでしょうが、それは2番目のものです。」その宝石商は感動し、大幅な値引きをして彼にその指輪を与えました。

画: 泉 類治
  

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