こころの散歩
工キスパート
工キスパート
スーフィー派に伝わるお話。
死んだと思われたある男が、友人たちによって埋葬地へと運ばれました。棺が墓穴に下ろされようとするとき、男は突然生き返り、棺のふたをたたきはじめました。
棺が開かれ、男は座りました。
「あなた方は何をしているのですか?」
彼は集まった群衆に言いました。
「わたしは生きています。死んでいません。」
男の言葉に、皆は驚いて沈黙しました。会葬者のひとりが、やっと言いました。
「友よ、医者も司祭もあなたが死んだことを証明しました。エキスパートが間違えるはずはありません!」
そこでふたは再びくぎを打たれ、男は決められたとおりに埋葬されました。
画: 松村 美智子