こころの散歩

改心の時

改心の時

 オー・ヘンリーは村育ちのチンピラの短編を残しています。
 村の学校にいた時、この男はいつも一人の女の子の隣に座っていました。二人はお互いに好きだったのです。やがて男は都会に出て、悪い生活に染まってしまいました。男はスリでけちな泥棒になっていたのです。ある日、男はお婆さんから財布をひったくって逃げました。首尾よくいったので男はホクホクでした。
 ちょうどその時、道を歩いてくる女性が眼に入りました。それは子供の時いつも隣に座っていた女の子だったのです。今でも愛らしく、けがれなく輝いていました。すると突然、男は自分が貧相な、クズ野郎に見えてきたのでした。思わず恥ずかしさで押しつぶされそうになって、街灯の冷たい鉄のポールに頭を押し付けていました。「俺、死にてぇ。」自分の真実の姿が見えた瞬間でした。

“William Barclay”より
  

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