こころの散歩
敵こそ神聖なるもの
敵こそ神聖なるもの
アメリカ先住民の伝統によれば、敵こそは神聖なるものだ。敵は自分たちを強くしてくれるからだ。
私たちに強くなる方法や成功する方法を教えてくれるのも、喪失や挫折や失敗という人生の「敵」なのだ。
ベーブ・ルースは現役時代、合計1,330回の三振をくらっている。もしも彼が三振の数を気にしていたら、野球史上にいまなお輝く五十余りの大記録を打ち立てることはできなかっただろう。
トーマス・エジソンも失敗を成功のもとにした一人だ。白熱電球にどんなフィラメントを使うかでは、1,000回をこえる実験を行なっている。「きみは1,000回も失敗したじゃないか」と批判者の一人に大声を上げられ、エジソンはこう答えた。「失敗なんかであるもんか。私のしたことは、役に立たない材料を1,000種類つきとめたってことさ。」
作家のリンダ・ゴットリーブとキャロル・ハイアットも「失敗は成功のもと」だと言う。なぜなら失敗すると、人はもっと勇敢に新しいことに挑戦するからだ。「ある意味で、失敗それも徹底的な失敗は、人を解放する」と。テレビ映画と教育映画の製作会社で二十年間重役をつとめ、その後解雇された経験をもつゴットリーブはこう言っている。「失敗したときにやるべきことは、その一度の否定的な出来事にこだわるのをやめ、自分の過去から肯定的なものを救い出してくることだ。」
アレン・クライン 著 / 片山 陽子 訳 「笑いの治癒力」(創元社)より