こころの散歩

新しい補聴器

新しい補聴器

 長年耳が遠いのを苦にしていた老婦人が新しい補聴器をあつらえ、調整のためにもう一度耳鼻科をおとずれた。
 「よく聞こえるようになって、ご家族やお友だちはさぞ驚いておられるでしょう」
 と医師に言われ、老婦人は答えた。
 「いえ、このことはまだ誰も知りませんの。あたくしはただ黙って、みんなの話を聴いているだけですから。でも、遺言は三度書きかえましたわ。」

アレン・クライン 著 / 片山 陽子 訳 「笑いの治癒力」(創元社)より
画: フェリペ・オガディス
  

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