こころの散歩
望みに賭けて生きる人
望みに賭けて生きる人
昔々のこと、中国の北方に一人の年老いた男が住んでいました。彼の家は南向きでしたが、入口の前に2つの大きな山、タイフンとワンフーの頂がそびえ立っていたため、家の南側は完全に遮断されていました。そこで彼は、厳かな決意を固め、息子と二人でこの2つの山を掘り崩そうと決め、鍬を取りだし働き始めました。
近所の人たちは、二人の作業を見て、「こんな大きな山を移動しようなんて馬鹿げたことだ!二人はおかしくなったんじゃないか。」と頭をかしげて言い合いました。
老人は微笑んで答えました。「わしが死んだら、息子らがこの仕事を引き継いでくれる。息子らが死んだら、孫たちが引き継いでくれる。確かに山は高い。だが、これ以上高くなることはないんだ。けれど、わしらの力はまだまだ大きくなるのさ。わしらが掘り返すシャベル一杯分だけわしらはゴールに近づいているんだよ。ただ何もせずに座って、この山のせいで太陽の光が遮られていると嘆いているより、何かをやってみる方がいいのさ。」
老人はそう信じ切って掘り続けておりました。神様はそれをご覧になって心を動かされ、2人の使いを地上に送られ、ふたりの使いは、その2つの山を担ぎだし、他所へ移したということです。
“Willi Hoffsuemmer”より