こころの散歩

本当に馬小屋で

本当に馬小屋で

 第一次世界大戦の時、クリスマスだけは停戦が合意され、実施されたことがある。その静寂の中にジョヴァンニ・パピニという伍長がいた。届けられたクリスマスカードに涙しつつこのように述懐した。
 「俺は今まで、イエスがこのざん壕のようなところで生まれたとは気付かなかった。二十数年間、クリスマスともなれば、デート、夜更かし、酒飲み、トランプでのバクチ、ダンスで一晩明かしたものだ。一日とはいえ戦争をやめさせることができるイエスがこんな所で生まれたとは知らなかった。」
 退役してから彼はイエス伝を書いた。最初の一行には「イエスは馬小屋でお生まれになった。本当に馬小屋でお生まれになった。」とあった。

  
画: Caravaggio, www.encuentra.com
  

ページ上部へ戻る