こころの散歩

森の若木

森の若木

 森の中の一本の若木が木こりに頼んだ。
 「俺の周囲の大きな木を、みな切り倒してくれないか。俺が十分に太陽の光をあおげないのも、自由に根を伸ばすことが出来ないのも、皆周囲の大木のせいだ。」
 そこで木こりは、森の木を片っ端から切り倒した。
 若木は、自由に手足を伸ばせるようになったと喜んだが、たちまち起こる暴風に、ひとたまりもなく、吹き倒されてしまったという。

「光に向かって100の花束」(1万年堂出版)より
  

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