こころの散歩
歓迎されざるルームメイト
歓迎されざるルームメイト
第三世界に強い関心を持つ熱血漢の学生がインドへ行ってみました。着くや否や彼には全てがショックでした。気候、食べ物、生活条件、そしてまわりの奇妙な顔の人々。でも、彼にとって一番頭にきたのは小さなことでした。部屋を割り当てられて、そこに引っ越す時、彼は、入念に部屋の隅から隅までチェックすると、太って脂ぎった醜いトカゲが住みついているのを発見しました。
勿論彼は、「こんな生き物と一緒になんかやってられない」とばかりに、あの手この手でこの侵入者を捕えようとしますが、全て失敗に終わりました。最後にはトカゲは食器棚の裏側に逃げ込んでしまいました。学生はプライドが高かったので、助けを求めたりはしません。すると、この空しい孤軍奮闘のさなかに、ふとこのトカゲと友達になったら?という素晴らしいアイデアが浮びました。
そこで、自分の部屋に帰ってくると先ず、このトカゲはどこにいるのかな?と探してみることにし、やがて名前をつけてやり、しばらくすると、おしゃべりの相手にもなったのです。すると、このトカゲは生活上に利点ももたらしていることに気づきました。どうやらトカゲは蚊を食べてくれているのです。この部屋の蚊があまり増えていないのはそのためだと分かったのです。
問題は、自分の捉えようであり、取り組みようでもあると彼は気づいたのでした。
“Willi Hoffsuemmer”より