こころの散歩
正直者のフィリップ
正直者のフィリップ
フランスの片田舎に住むジャック。貧乏で隣家の借金を返せず、やむなく飼っていた雌鳥を5、6羽借金の代わりに引き取ってもらった。
翌日ジャック夫婦が畑に出た後、雌鳥がうちつれて古巣へ里帰り、卵を5、6個産みにきた。
留守番をしていた7歳の息子のフィリップは大喜び。
「お母さんが帰ってきたら煮てもらおう」と、かごに拾い上げようとして、ハッとした。
「雌鳥はもう家のものではない。ならば卵は燐家のもの」と気づいたからである。
早速先方に届けたフィリップに感心した隣人は訪ねた。
「お父さんか、お母さんの言いつけかな」
「いいえ、二人とも畑へ行っています。帰ってきたら、きっと持っていけと言いますから」
フィリップの正直に感動して雌鳥二羽を褒美にくれた。
フィリップは後に、フランスの大政治家になっている。