こころの散歩
死んだ教会
死んだ教会
新しい神父が教会に赴任してきたが、この教会はまるで死んでいるように見えた。信者は教会のことに全く無関心だった。それで、彼は次の日曜日は教会の葬儀ミサだと発表した。
次の日曜日、教会は一杯になった。祭壇の前には棺おけが置かれていた。神父は「まず葬儀ミサの前に、皆さんお一人ひとりに死せる教会の遺物をお見せしましょう。」と言ったので、人々は何のことかと顔を見合わせたのだった。
ひとりづつ棺を覗き込むと自分の顔があったので誰もが驚いてしまった。実は神父があらかじめ棺の中に大きな鏡を仕込んでいたのだった。多くの信徒はこの“ジョーク”に不愉快になった。そこで神父は最後にとどめを刺すように言った。「私たちが埋葬しようとしている教会とは、あなた方一人ひとりのことなのです。」
“MORE STORIES of LIFE and LAUGHTER”Fr.Bel San Luis, SVD
画: 泉 類治