こころの散歩

王様と農夫

王様と農夫

 ある日、王様が宮殿を出、椰子の木を植えている年取った農夫に出会いました。王様は立ち止まり、その人に「今、あなたは椰子の木を植えていますが、椰子の実が実るには長い年月が要ります。あなたは高齢ですし、誰がその実を食べるか分からないでしょう。」と聞くと、農夫は「王様、他の人が植えたお陰で、私たちも今、実を食べているのです。私たちが植えるその実りは、同じように誰か他の人が受け取るでしょう。」と答えました。王様は、農夫の寛大さに驚き、銀貨百枚を与えました。農夫はお金を受け取って王様に言いました。「王様、直ちに実を結んだということがお分かりでしょう?」王様は、その賢い返事にまたもや感心し、更に百枚の銀貨を与えました。農夫はお金を有難く戴きながら言いました。「最も不思議なことには、普通には、年に一回実を結ぶのですが、今回は、一時間に2回も実を結びました。」

画: 泉 類治
  

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