こころの散歩

皿洗い

皿洗い

 私の友人がお寺に泊めていただいたときのことです。
 友人はご住職に、皿を洗いましょうと礼儀正しく申し出ました。すると、
 「それはご親切に。でもけっこうです。」
 ご住職はやはり礼儀正しく、しかしきっぱりと断ったのです。
 「なぜですか?」
 「あなたはやり方をご存じありませんから。」
 奇妙な答えでしたが、実はそれほど奇妙というわけではありませんでした。
 ご住職が言いたかったのは、さっさと片付けてしまおうとする友人の乱暴な洗い方ではよくないということ。そして、もう一つは、ご住職自身のチャンスを失ってしまうからということでした。つまりそれをしながら、心を静めて考えごとをするチャンスを、です。

ジーン・ヒントン 編著 / 光原 百合 訳 「祈りの泉――365のことば」(女子パウロ会)より
  

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