こころの散歩
真新しい24時間
真新しい24時間
毎朝目をさますと、24の真新しい時間が私たちを待っています。何てすばらしい贈りものでしょう。そして、この24時間を、自分自身やほかの人々に平和と喜びと幸福をもたらすように使う力量が、私たちには備わっているのです。
平和は、いま、ここにあるのです。私たち自身のなかに、そして私たちが見たり聞いたりするものすべてのなかにあるのです。問題は私たちがそれに触れようとするか否かなのです。
微笑んだり、息をしたり、歩いたり、食事をしたりする毎日の暮らしのなかに、豊かな幸福に出会う場があります。私たちは生計を立てることには長(た)けていますが、生きてゆくことには不器用です。ときには10年もの歳月をかけて学位をとったり、仕事や車、家を手に入れるために一所懸命働いたりもします。しかし自分がいまここに生きていることは忘れています。いまこの瞬間こそ思い出さなければならない大切な一瞬だということを、私たちは忘れて暮らしています。私たちのひと息ひと息、一歩一歩は平和と喜びと静けさに満たされています。だから、いまここ、この一瞬に気づき、いまここ、このときを生きてみてください。
ティク・ナット・ハン 著 / 池田 久代 訳 「微笑みを生きる」(春秋社)より
画: 谷口 伸子