こころの散歩
真理は日常の中に
真理は日常の中に
少年が電気技師にたずねた。
「お父さん、電気ってそもそも何なの?」
「じつのところ、お父さんにも分からんのだよ、でも明かりをつけてみせることはできるよ。」
* * *
ある男がバヤジッドに、お弟子に加えていただきたいと願い出た。
バヤジッドは答えた。
「真理を求めるというのであれば、条件を満たし、務めを果たさねばならん。」
「それは何ですか。」
「水をくみ、薪を割り、掃除・洗濯・料理をせねばならぬ。」
「私は真理を求めているのであって、仕事をお願いしているのではありません。」
男はそう言うと歩み去っていった。
* * *
ラビ・モクシェが亡くなった。コティクのラビ・メンデルはモクシェの弟子の一人に聞いた。
「ラビは何が最も大切だと教えられましたか。」
彼はちょっと考えてからこう言った。
「その時、その場においてなすことになった、そのことこそ重要だと。」
画: 平崎 梨花