こころの散歩

神様のおくさん

神様のおくさん

 10歳の男の子が靴屋の前に立ち止まり、素足で寒さに震えながらショーウィンドウの中を見ていました。
 ひとりの女の人が近づいて、話しかけました。「ぼく、何をみているの?」
 男の子は答えました。「神さまに、あの靴をくださいってお願いしてるんだ。」
 女の人はうなずき、子供の手をとって店に入り、店員に言いました。「この子のために、半ダースの靴下をください。それからもしできたら、一枚のタオルと水をためた桶を持ってきてください。」
 店員は、急いで頼まれたものを持って来ました。女の人は店の隅に子供を連れていき、手袋をはずして子供の足を洗ってタオルで拭きました。店員が半ダースの靴下を持ってくると、1足の靴下を子供にはかせ、1足の靴も買いました。残りの靴下を子供に与え、頭をなでながら女の人は言いました。「私の小さなお友達、何も心配しないでね。今は気持ちがいいでしょう。」
 子供は、欲しがっていた靴を手に持ち、目にいっぱい涙をためて、女の人を見つめながら答えました。「あなたは、神様のおくさんなの?」

  
画: 泉 類治
  

ページ上部へ戻る