こころの散歩
神様の心
神様の心
師はざっくばらんな人柄でしたから、弟子たちは、神を捜し求めて来られたこれまでの道のりをお聞かせください、と頼みました。
「神はまず、私の手を取るようにして、行いの国に導かれた。そこで、私は何年か過ごした。
つぎに、神は私を、苦悩の国に伴われた。心の無秩序な愛着がすべて清められるまで、そこに住んだ。
そして、愛の国では、燃えさかる愛の炎に私のうちに残っていた自我は、ことごとく焼きつくされてしまった。
その後、沈黙の国に行き、生と死の神秘に驚きの目を見張ったものだ。」
「そこが師の道の到達点ですか。」
「いや。ある日、神は言われた。
『今日はお前を神殿の一番奥の聖所、私の心の中に連れていこう。』と。
そして、導かれたのは笑いの国だった。」
ホアン・カトレット 著 / 中島 俊枝 訳 「たとえ話で祈る―聖イグナチオ30日の霊操―」(新世社)より
画: ホアン・カトレット