こころの散歩
神様はどこに
神様はどこに
無口な父がある日仕事から帰ってきて、井戸に水桶を下ろし、冷たい水をいっぱい汲んだ。父は両手で水桶を持ち、気持ちよく水を飲んでから、タオルをぬらして顔の汗を拭った。
そばにいた私に気づいて「井戸の一番下に誰がいるか知っているか?」と言った。私は首を横に振った。「井戸の底に神様がいるのだよ。」と言いながら私を抱き上げてのぞかせた。鏡のように透き通った水の表面に、自分の姿しか見えなかった。「お父さん、それはぼくの顔だよ」と私は言った。すると父は優しく、でも真剣に言い続けた。「そうだよ、神様の居場所が分かっただろう…。それはお前の心の中なんだよ。」