こころの散歩
自分で量ってみれば
自分で量ってみれば
一人の男がすごい剣幕で店に飛び込んで来て、「これを見ろ。昨日ここでナツメグの実を一袋買ったけど、開けてみたら半分以上がくるみの実だったぞ。わしに売ったのはこの子だ。」と店の主人の息子を指差しながら叫んだ。
主人が「ジョン、この人にナツメグの代わりにくるみを売ったのか?」訊くと、「いいえ」息子はさりげなく答えた。
主人はそっけない息子の態度にいらだち「嘘つくな。」と声を荒げた。するとジョンはおだやかに「ちょっとごらんください。もし中味を量っていただければ、おまけにくるみを入れたことがお分かりいただけると思います。」と言った。男は「え!それじゃ、わしにくれたということかね?」ちょっと落ちつきを取り戻して聞くと「はい、そうです。子供たちにと思って、ちょっと一握り入れました。」「そうだったのかぁ〜わしはすっかり早とちりしちまって恥ずかしいよ。あんた、いい人だね。じゃあ、今日は紅茶を1ポンドもらおうか。」と紅茶を買って帰って行った。
権利意識にあまりにも囚われすぎると、誰かが自分をだまそうとしているという思いにとりつかれるのですね。そうならないためには、ちょっと立ち止まり、自分で量って見るということかも知れません。
“Sunshine Magazine”より