こころの散歩
若い灯台守
若い灯台守
世界最古と言われている灯台は、古代エジプトの小さなファロス島にありました。年老いた燈台守が亡くなり、若者がその仕事に就くことになり、彼はランプの点検、調整そして給油方法を教えてもらいました。油は、巨大なかめに蓄えられ、在庫は十分にありました。 天気が良いと港は安全ですが、ひとたび嵐になると彼はランプに点火しその火を消さないように守り、近づく船の案内をしなければなりません。おだやかな天気が続いたので、若い灯台守はすることがあまりなく、彼は漁師たちととても親しくなり、漁師たちはしばしば彼のところに寄っては油を借り、港までの自分の油の消費を節約するようになりました。しかしいつの間にか油の在庫の底がつきかけていました。
ある夕方、燈台守は漁師が一人も現れないことに気がついて見るとすべての船は岸に停泊していました。嵐が来るという話が飛び込んできたのです。「そうだ、ランプを点火しなくては」と彼は思って見ると、ランプは汚れており、おまけに蓄えていた油のかめは空でした。あっという間に嵐が来て何もかも飲み込み、激しい嵐にもて遊ばれる船は、目を凝らして港を知らせる灯台の明かりを探すのですが、そこに灯台の光はありません。こうして多くの船が粉々に砕け散ったのです。
“Tonne”より