こころの散歩

誰かが喜んでくれるといいね

誰かが喜んでくれるといいね

 小さな女の子とおじいさんが通りを歩いていると、きれいなバラでいっぱいに覆われたフェンスがありました。女の子はゆっくりと息を吸い込んで言いました。「おじいさんも、このバラの匂いをかいでみて。まあ、なんて素敵な匂いでしょう。」
 その時、庭の奥からおばあさんの声が聞こえました。「好きなだけ取っていいよ。」
 それでおじいさんと女の子はいくつかバラを摘んで、お礼を言ってから、素敵なお花ですねと付け加えました。
 するとおばあさんが言いました。「私はね、誰か他の人が喜んでくれるといいねと思って、このバラを育てているんだよ。私は自分ではこの花を見ることができないんだよ。だって私は目が見えないんだもの。」

“1000 Stories You Can Use”より
  

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