こころの散歩

豊かさの裏側

豊かさの裏側

 今日の日本の豊かな生活は、アジア諸国の資源と貧しさや犠牲の上に成り立っていることを痛感する。
 「開発」や「援助」という名のもとに、アジアの民衆の労働力を搾取し、公害を輸出し、独裁政権の保護の下に日本の繁栄があり、その足もとでアジアの民衆の生活と人権とがおびやかされている。
 そういう状態の上に乗っかりながら、豊かに生きる私たちが「気の毒だから何かをしよう」としていく仕組みを見据え、問わねばならない事を思う。
 「共に生きる」とよくいうが、私たちは生身の人間が追いやられている苦境やその不平等の根っこの部分を問わないで、「共生」を考えていることが多い。
 誰かのために何かをする以前に、もしかしてこの私がその人を苦しめているのかも知れないと考えてみたい。

荒川 純太郎 著 「アジアの種子」(日本基督教団出版局)より
  

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