こころの散歩
貧しい人の客
貧しい人の客
大きな祭りの前のことだった。神の像がこれから町に入って来る。象もパレードの準備をし、婦人たちもサリーで着飾る支度。
そこに、神殿を掃き清めている小さい老人がいた。
神殿の祭司がやって来て、祭りの準備をしろとせき立てた。「神がおいでになるのだから」と。
老人は言った。「そんなはずはない、ここには来られない。」
さて、その重要な日を迎えた。パレードが始まり、象も加わり、音楽も鳴り出した。花もたくさん飾られ、着飾った人が繰り出した。一方、例の老人は、相変わらず掃き掃除していた。
祭司は、「もうパレードが始まっているから、早く見に行きなさい」と老人に言った。
しかし、彼は断った。
「なぜだ」と祭司が問うと、
「自分の家に帰らなくてはなりません」と彼は答えた。
「何しに行くのだ」とさらに祭司が聞くと、
「神が私に会いに家にいらっしゃるから」と老人は答えた。
祭司は、「おまえのような貧しい者のところに、神がおいでになるものか」と言って、大笑いをした。
するとこの老人は、天を仰いでこう言った。
「貧しい者を訪ねて来るのは、神以外いません。」
タゴールの詩
画: [キリストと貧者たち]1935、Georges ROUANULT