こころの散歩
転んでも
転んでも
ある若い司祭が刑務所で説教をすることになっており、何日も前から、固くなった受刑者に感動してもらえるにはどんな話がいいのかと思案していました。
当日、司祭は会場に一歩足を踏み入れたとたん、受刑者たちの固い表情から冷たい視線を浴びて震えました。彼は演台に向かって歩きながらつぶやくように祈っていました。ところが演台にあがるステップの2段目に躓いて床の上に見事に転がり、聴衆は大爆笑。
彼はしばらくの間、腰の痛みと恥ずかしさですっかり縮み上がっていましたが、ふとアイデアが浮かんだのです。彼は突然すっくと立ち上がり、ステップを2段とびに跳ね上がって笑いながら聴衆に話しました。「みなさん、これこそ今日みなさんにお伝えしたかったことです。人はヒキガエルのように額を床にぶつけて倒れたとしても、立ち上がることができるのです。」
“Willi Hoffsuemmer”より