こころの散歩

農家問題:鶏かあひるか

農家問題:鶏かあひるか

 毎年春になると土地のほとんどが洪水に流される養鶏農家の話を知っていますか?

 その農家の主人は引越したくなかった。
 しかし、毎年水位が上がって、彼の鶏が流されそうになる季節が来ると、いつも鶏を高い所へ避難させなければならないという問題が起こった。

 ある年とびきりひどい洪水で、彼は大損害を被ってしまった。
 彼は家に戻ってくるなり、すっかり打ちひしがれて妻に言った。
 「すっかりやられちまった。他の土地を買う金はないし。
この土地も売れやしないし。もうどうしようもないよ。」

 妻はこの不幸のさなかに、ふとひらめいて言った。
 「そうよ、あひるを飼えばいいんだわ。」

画: 泉 類治
  

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