こころの散歩

運の良し悪し

運の良し悪し

 中国には次の有名な逸話がある。
 一人の年老いた農夫がいた。ある日、彼の持ち馬が胡の国へ逃げ込んでしまった。近隣の人達は、「運が悪かったですね」と言って彼に悔やみを述べた。老人は、「運が悪い、良いなど誰に分かりましょう」と答えるのであった。
 数日後、その馬が胡の国から一群の駿馬を伴って帰って来た。近隣の人達は、「運が良かったですね」と祝いの言葉を述べた。老人はまた、「運が良い、運が悪いなど誰にわかりましょう」と答えた。
 老人の息子は騎乗を好んだ。ある日、この息子は落馬して足を折ってしまった。誰もが、「ああ気の毒に、運が悪かったのだ」と思った。けれども老人は、「運が悪い、運が良いなど誰にわかりましょう」と言っていた。
 数週間の後、軍隊が村に入って来て、壮健な若者をことごとく徴兵した。老人の息子だけが骨折の故、放免された。あとのすべての若者たちは戦死した。

エドワード・ブジョストフスキ 著  「絶えず祈りなさい―心からの祈り―」(新世社)より
  

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