こころの散歩
長い闇の中にいた
長い闇の中にいた
長い闇の中にいた。今もその闇の中にいる。最近の4ヵ月半はうつ病で入院していた。確かに病気だったんだろう。抗うつ剤はよく効いた。「死にたい」「存在を消し去りたい」という気持ちが自然に薄らいできた。始めは閉じこもって誰とも話したくなかったが次第に自分と向き合うようになった。たまたま、私のベッドの向かいにうつ病の人が腸閉塞で入院してきて、その人の主治医が見舞いにきた。出会いとは不思議なものだ。彼女(女医である)は今、私の主治医でもある。彼女は私が自分などいないほうがいいと言うと「神様はあなたを通して働いているのではないですか」などと切り返してくる。これには参った。私がいつも人に言っていることである。カトリック信者としてたくさんの人から相談を受ける。その度に私は神の計らいの素晴らしさとそのなさり方の不思議を驚きとともに伝えてきた。自分が諭されるほうに回るとは夢にも思わなかった。しかし、どんなに信じていても闇は訪れる。そして、どんなに闇だと思っていても光は訪れる。「混乱があるのは聖人を作り出すためだ」と言った誰かの言葉を思い出した。聖人にはなれないけれど、光が神の恵みなら、闇もまた神の恵みだと思えるようになった。
M. T. Y.