こころの散歩
限りなく穏やかな心が得るものは
限りなく穏やかな心が得るものは
ウィーンのクレメント・ホフバウアーはナポレオン戦争で親を亡くした孤児たちの面倒を見るために寄付を集めて回っていました。ある日、レストランに入ると、男が3人トランプに興じていました。3人に寄付を頼むと、その中の一人がさげすんだ言葉を浴びせた上に、彼の顔につばを吐きかけたのです。
するとホフバウアーは静かにハンカチを取り出し頬のつばをぬぐい、静かに言葉をかけたのでした。「今のは、私に対する仕打ちでしたね。それでは私の子供たちに対しては、何かいかがでしょうか?」
この粗暴なトランプの男はしばし、あっけに取られていましたが、何も言わず財布を取り出して、入っていたお金を全部彼に渡したのでした。
“Tonne”より
※Clement Hofbauer クレメント・ホフバウアー カトリック司祭: 1751年モラヴイア生まれ、パン職人、ポーランドで孤児院の運営などを経て、1820ウィーンにて死去。1909年列聖される。