こころの散歩

陸揚げボイコット

陸揚げボイコット

 30年ほど前に実際にあった話です。
 あるイギリスの貨物船が、600トンの果物をスウェーデンに運ぼうとしていました。ところが、スウェーデンの人夫たちは、陸揚げを拒否しました。その理由は、貨物船で働いている17名のアフリカの船員が、月に40ポンド、つまりイギリスの船員の賃金の半分しかもらっていないことでした。
 仕方なく、船長は、イギリスへ帰りました。しかし、そのうちにスウェーデンから電話を受けたイギリスの人夫たちも同様に、陸揚げを拒否しました。それで今度は、ベルギーのアントワープへ行ったのですが、その港の人夫たちも陸揚げを拒否しました。
 途方にくれた船長は、国際船員組合書記長に会って、二時間の交渉の結果、アフリカの船員たちにこれからイギリスの船員たちと同額の賃金を払う協定を結んだのでした。

  
画: 軽部 修司
  

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