こころの散歩

風色

風色

坂村 真民

台風一過後の
さわやかな川原に
静かに遊んでいる
五羽の白鷺がいた
それはせつないような
幽かな風色であった
久しぶりに会ったせいもあろう
すがすがしい光のなかで
無心に遊ぶ
白鷺の姿に
わたしは嗚咽(おえつ)にも似た
感動を覚えた
何もかも流し去って
川の水もいつもとちがった
清冽さであった

「坂村真民全詩集 第三巻」(大東出版社)より
写真: 山野内 倫昭
  

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