こころの散歩
太陽の光の奇跡
去年、ある木の枝の葉の上に太陽から地球へ送られた光が数分間そそがれていた。
植物はその太陽の光で砂糖を作った。
その砂糖はめぐりめぐって私の砂糖つぼに納まり、そして朝のコーヒーに入れられた。
それで私は去年の太陽の光を朝食で頂くことになった。
今やそれは私の血となり、体中の筋肉に運ばれている。
今あたりは暗くなったので、私は自転車に乗って家路を急ぐ。
筋肉に蓄えられたあの太陽の光は、突然ペダルを踏むパワーとなり、更にチェーンのパワーに、そして車輪の回転に、そして発電機の回転になり、それから電球のフィラメントを熱し、終にはヘッドランプから再び光となって現れた。
これって奇跡じゃないの?
“Malcolm Wells”より
画: 泉 類治