こころの散歩
I love you
I love you
戦争中の一つの出来事です。
アメリカ人は飛行機からビラとアドバルーンをよく東京の空から蒔くのでした。
停戦をよびかけながら…。
私たちはそのビラを決して読まないようにと厳しく戒められても、やはり誰もがそれに目を通してしまいます。
1945年3月10日の夜、あの烈しい怖かった空襲の明くる朝、このままなら自分だって生き残れないし、両親にも二度と会えないなどと、悲しさと不安に襲われて、神様に祈りました。「神様、本当にあなたがいるなら、何かおっしゃってください、私を守ってください」と。
運動場に出た時、ビラがいっぱいまかれてあり、そして、木の枝に一個のアドバルーンが手の届く高さに引っかかっていました。その糸を外して大きな字で書いてあったメッセージを読んだ時、涙を抑え切れませんでした。それは、私への神様の答えだったからでした。
そこには“I love you”と書かれていたのです。
「落ち葉「いい人生」と言うために」(ドン・ボスコ社)より