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5. アフガンの孤児院着工

 今年8か月ぶりに、4度目のアフガン訪問を果たし、250人収容の男子孤児院着工の運びとなった。州政府当事者たちは首を長くして私の再訪を待っていた。空港から直に孤児院予定地へ。すぐに建設の話に入った。彼らには既に現地エンジニアに描かせた2階建て250人収容の建物の図面ができていて、これを建てて欲しいと、強力く要望してきた。
 カブール中央建設省からも役人が派遣され、ポリスマンも立会いのもと、厳正に入札が執り行われ、12の現地建設業者の中からBenyamin Sohai社を選んだ。詳細にわたる打ち合わせ後、総工費10万ドル、工期7か月で正式契約を結んだ。
 来春には完成の予定。ヘラートの父親のいない少年たちは生活の担い手である。母親や女の子は外出できないからである。12~13歳になると、工事現場で水運び、砂振るいなどの日雇い労働で賃金を稼ぐ。10歳以下の少年は、薪(たきぎ)拾いや、主食のナンや日用品の買い物をしたり、タバコ・ガム・トイレットペーパーの物売りをしている。生活費を稼ぐことが優先し、勉強したくてもできない現状。孤児院が完成すると、250人が入居できる。少年たちがこの施設で喜ぶ顔が、目に浮かぶようだ。完成後には、生活援助、衛生的で文化的な生活習慣の導入、英語や音楽など勉強の場を与え、平和教育の指導などに取り組みたい。
 ここまで漕ぎつけたのは、アフガニスタン復興の熱意に燃える多くの人々の力添えによるものである。
 訪問先のあちこちから何がしかの寄付や協力を頼まれる。物を供与するだけの支援ではなく、先の自立につながる支援をしたいので、その度に「よく考えてから」と答えている。
 ヘラートだけで孤児の数7,000人とか。
 また、ヘラートは女性の焼身自殺の多さで有名。世界一妊産婦の死亡率の高い所でもある。今後は女性たちの自立支援も視野に入れた活動も展開したいと思う。
 弱い立場に置かれた子供や女性の命を援助する仕事は山積しており、私たちのささやか種がアフガン復興の小さな礎となることを願ってやまない。)

柄子真弓 (アフガン孤児支援「ラーラ会」代表)
筆者の紹介:
 アフガン西部ヘラートに孤児院の建設を進めている責任者の柄子真弓さんは、昨年6月義足を届ける活動に参加し、混乱の中で親を亡くした子供たちの悲惨さに「見た者の責任」を感じ、何か果たさねば、と決心。その熱い思いに賛同した人々から支援の声があがり、アフガン孤児支援「ラーラ会」が発足し(2003年の特集「コンパッション」に記事掲載)、会費や寄付を募ってきた。日本の一女性の思いがアフガンの地に芽生え、成長している。

(特集-希望の光 5 2004/12/24)

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